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ITディレクターについて:3 マネージメント

不具合発生時のITディレクターの動き方

作成日:2021年8月16日、更新日:2021年8月20日

はじめに

前回は「IITディレクターとプロジェクトマネージャの違いについて」というタイトルで、「ITディレクター」と「プロジェクトマネージャ」を比較することで、「ITディレクター」の役割についてより具体的に紹介しました。
今回は担当システムに不具合が発生してしまった際の「ITディレクター」の「動き方」について紹介したいと思います。
不具合発生時に「ITディレクター」は問題解決に向けて主体的に行動する必要があります。

この記事を読む際の注意点

システム開発において「役割名」が同じでも、会社や現場によって「役割」が異なることはよくあります。
記事の内容は筆者の経験を基に記載した、一例として読んで頂ければと思います。

初動

「ITディレクター」は不具合(バグ)が発生した際に、システム側の人間として「クライアント」「運用チーム」「カスタマーサポート」(以下「不具合報告者」と記載)から第一報を受け取る窓口になる事が多いです。

第一報を受け取った「ITディレクター」は報告内容を精査して、「不具合」なのか「仕様通り」なのかを判断します。
この判断を素早く正確に行うために、「ITディレクター」はサービス(システム)の仕様を把握している必要があります。
大まかな仕様は頭の中にあり、細かい仕様も「あの資料を見れば分かる」といった状態であることが求められます。

「仕様通り」と判断した場合は、「不具合報告者」にその旨を伝えます。
「不具合対応」としては完了になります。
ただ、報告者が不具合(バグ)と判断したからには、現状の仕様では「誰かが困っている」可能性が高いので、近日中に「不具合報告者」からヒアリングを行う事が望ましいです。

「不具合」と判断した場合は、「プロジェクトマネージャ」や「エンジニア」等の関係者に不具合内容を伝えます。

「緊急度」による不具合の切り分け

報告内容を「不具合」と判断した「ITディレクター」次のアクションは、「不具合」の切り分けを行うことです。

最初に考えるべき切り分けは「緊急度」の軸になります。
1. 一刻も早く対応しなければならない
2. 明日までに対応しなければならない
3. 今週中に対応しなければならない
4. 一ヶ月以内に対応しなければならない
5. いつかは対応しなければならない

「緊急度」を「ITディレクター」一人で決められない場合は、「プロジェクトマネージャ」や「不具合報告者」と相談して決めます。

「緊急度」が上記の「4」「5」と判断された場合は、緊急対応不要と判断し、タスクリストに不具合対応を追加します。
「プロジェクトマネージャ」「エンジニア」「不具合報告者」に通常のタスク消化で対応を行う旨を通知します。

「緊急度」が上記の「1」「2」「3」と判断された場合は、次の軸で切り分けを行います。

「根本対応に要する時間」による不具合の切り分け

「不具合」の「緊急度」が比較的高いと判断された場合は、次に「 根本対応に要する時間」によって切り分けを行います。
「根本対応に要する時間」は対応の「難易度」「影響範囲」等から判断します。

A. 短い
B. 長い

「根本対応に要する時間」は「ITディレクター」だけで判断するのではなく、「エンジニア」と相談して決めるのが良いと思います。

「根本対応に要する時間」が「A.短い」と判断された場合は、「エンジニア」対して「対応依頼」を行います。
対応が終わりしだい「緊急リリース」を行い、対応が完了した事を「プロジェクトマネージャ」「不具合報告者」に通知します。

「根本対応に要する時間」が「B.長い」と判断された場合は、次のアクションを検討します。

「暫定対応要否」による不具合の切り分け

「緊急度」が「高い」にもかかわらず、「根本対応に要する時間」が「B.長い」と判断された場合は、「暫定対応ができるか」の検討を行います。

「暫定対応」は「根本対応」とは異なり「一時しのぎ」的な対応となりますが、そのまま放置するよりかは「マシ」な状態にする対応の事です。
「暫定対応」は「根本対応」を完了するまでの時間稼ぎとして行います。
(「暫定対応」と対比して「根本対応」の事を「恒久対応」と呼ぶこともあります。)

「暫定対応」の「方法」は「ITディレクター」と「エンジニア」で相談して決めます。
「暫定対応」の「要否」は「ITディレクター」が「プロジェクトマネージャ」「不具合報告者」等と相談して決めます。

良い「暫定対応」の「方法」が無いため、「暫定対応」を行わない(行えない)と判断することもありますし、良い「暫定対応」の「方法」が有っても、必要工数等を考慮して、「暫定対応」を行わないと判断することもあります。

図式化

これまで紹介してきた不具合発生時のITディレクターの動き方を図式化しました。

不具合発生時におけるITディレクターの行動フロー

まとめ

今回は不具合が発生した際の「ITディレクター」の「動き方」について紹介しました。
「プロジェクトマネージャ」「エンジニア」「不具合報告者」とコミュニケーションを取りながら、「不具合対応」を進めていくプロセスが伝われば幸いです。

筆者

写真
築山 博
情報系の大学院を卒業し、その後はずっとIT関連の仕事に携わってきました。
「プログラマー/SE」からキャリアをスタートして「チームリーダ」等を経て、現在は「ITディレクター / プロジェクトマネージャ」と呼ばれる役割をこなす事が多いです。
2016年からフリーランスとして活動しております。